ハヤト裁判とは

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鶴田早亨(つるたはやと)さんは1984年生まれです。先天性の自閉症・てんかんがあり重度の知的障害者でした。2006年,早亨さんはA市にある障害者支援施設に入所し,本件事故で亡くなるまでここで生活をしていました。
早亨さんには周囲の人が目を離すとすぐにどこかへ行ってしまう障害特性がありました。そのため,家族は施設側に対して,早亨さんから常に目を離さないで欲しいと繰り返し要望していました。
また,早亨さんには食べ物に強く執着する傾向がありました。そして,いつからか早亨さんは,自分で食べ物を食べるとき,たくさんの食べ物を次々に口にかき込んでしまうようにもなりました。施設内ではそのことを「駆け込み食い」と呼んでいました。そのため,食事の際,施設では職員が1回1回小鉢に食事を取り分けて早亨さんに食べさせていました。
2013年3月22日,施設の職員が早亨さんから目を離した隙に早亨さんは施設を抜け出してしまいました。施設内と外部を隔てている「天使の扉」と呼ばれる扉がこのときは開いていました。開いていた理由について未だに施設側からの説明はありません。
外へ出た早亨さんは,1キロほど離れたスーパーでたくさんのドーナツを食べて喉に詰まらせ窒息しました。救急車で病院に搬送されましたが,病院で死亡しました。28歳でした。
事件後,施設側から遺族に対して,損害賠償額の提示がありました。しかし,その金額は同年代の健常者の場合に比べるとたった4分の1程度でした。
2014年8月,遺族は施設側に対して損害賠償を求めて名古屋地方裁判所に提訴しました。
この裁判の中で,施設側は,早亨さんが食べ物を咽につまらせて窒息死することまでは予見できなかったとか,施設を抜け出した早亨さんの側にも落ち度がある等と主張しています。また,損害額の計算において,早亨さんが働いておらず将来も働いて収入を得られる可能性はなかったとして,将来の収入が失われた損害を否定しています。なお,この将来の収入に関する損害を裁判実務では「逸失利益」といいます。
しかし,先ほどご説明した事実経過からして,施設側が早亨さんの窒息死を予見できたこと,そして,早亨さんの側の落ち度が問題にならないことは明らかです。
また,逸失利益について,確かに現在の裁判実務では,死亡した人が得ていた収入額を基礎として金額を計算するのが原則です。しかし,この裁判実務は,死亡事故の損害額の計算において,健常者のいのちと障害者のいのちとの間に大きな差をつけることを認めるものです。この考えは,すべての人の法の下の平等を定めた憲法第14条に違反するものであり,是正されなければなりません。
遺族と弁護団は,いのちの価値の平等を求めて裁判を闘っています。
2016/12/25 ハヤト裁判弁護団


< 経緯 >
H15.03
  I 養護学校高等部卒業

H15.03H18 作業所通所

H18.07 S会 障がい者支援施設「 H 」 入所

24.05.15 母好美死去

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<事故経過

25.03.22 本件事故

25.03.25 葬儀

25.03.30 荷物引き取り

25.04.10 説明会・退所手続き

25.05.17 話し合い

25.07.22 話し合い

      最終回答、逸失利益を含め

      て1800万円、治療費(限度

      8400)、葬儀費用(限度60

      万円)は実費を支払うとの提案
25.07   保険会社から、以後は代理人を立てる旨連絡あり

25.10.25 事実関係について説明を求める通知書発送

26.01.24 被告代理人より回答書

26.03.24 双方代理人間の交渉

      主張の隔たりが大きく、合意に至らず

26.08.01 提訴

26.10.02 第1回口頭弁論期日

26.11.13 弁論準備手続

27.01.20 弁論準備手続

27.03.05 弁論準備手続

27.04.16 弁論準備手続

27.06.09 弁論準備手続

27.07.30 弁論準備手続

27.09.24 弁論準備手続

27.11.10 弁論準備手続

28.01.19 弁論準備手続

28.03.10 弁論準備手続
28.05.17 弁論準備手続

28.07.12 弁論準備手続
28.09.06 弁論準備手続
28.10.25 弁論準備手続
28.12.15 弁論準備手続
29.02.07 弁論準備手続
29.03.16 弁論準備手続
29.04.17 弁論準備手続
29.05.23 弁論準備手続
29.07.11 弁論準備手続

29.09.21 弁論準備手続
29.11.01 弁論準備手続

( 次回 29.12.22 弁論準備手続)